きもの四方八方[ 伝え継ぐもの ]

1月・2月
黒留袖 臈纈染「遠山」/袋帯「雪持木立」
布地に銀箔を押して硫黄と松脂で熱を加えて煤色を
付ける日本画の技法で刺繍下の帯地を作る方法は、
先代がよく使っていた手法でした。銀箔がほんのり
焼けた色合はとても美しく、その焼け具合を止める
ためにドウサ(膠汁に明礬を加えたもの)を引きま
す。長い年月には黒ずんでしまうことが多いのです
が、この帯の銀箔は六十年経った今も変わらない美
しさです。
息子の婚礼の席で嫁の母親の着用する留袖の依頼を
受けた先代が、この刺繍の帯に合わせて洒脱な画風
の秋山達三氏の遠山をイメージしたのでしょう。
それからおよそ三十年の後、その時の嫁(私)が今
度は子供達三人の結婚式で着用、随分働いて呉れて
います。