きもの四方八方[ 伝え継ぐもの ]

3・4・5月
染名古屋帯「仙桃文」「霊芝文」板谷波山 筆
前回までは、むら田先代に関わるきものをご紹介し
て参りましたが、今回は私(あき子)の祖父の遺し
てくれたものをお目にかけます。
祖父板谷波山は、帝室技芸員として毎年宮内庁から
賜る羽二重に、帯の図案を直筆で描き、身近な人達
への贈物にして居りました。私の婚礼時、祖父は90
歳、前日に夜なべでこの絵を描いて呉れたことは、
思いも依らない嬉しい出来事でした。
作品のモチーフに度々使われる「仙桃文」と裏面の
「霊芝文」は、どちらも延寿を表す吉祥文です。年
令を感じさせない力強い筆力に改めて畏敬の念を抱
きます。当初は両面帯として仕立て、二重太鼓で締
めて居りましたが、後に裏側の「霊芝文」も妹用に
と、もう一本別の帯に仕立て直しました。
帯留は陶製の四ツ葉のクローバー。これも祖父の気
に入っていたモチーフです。
祖父からは有形無形の恩恵を受けて来たことを改め
て感じます。