きもの四方八方[ 伝え継ぐもの ]

6・7・8月
絽友禅染訪問着「波千鳥」/絽名古屋帯「仙桃」板谷波山 筆 
前回に引続き、祖父、波山が遺してくれたものをご
紹介します。こちらは祖母の為に祖父がデザインし
た着物と帯です。
波と千鳥に水車をあしらった優雅な文様の夏の訪問
着…この当時は下前の褄にも上前と同じように模様
が描かれたようです。
仕舞を稽古していた祖母の発表会に合わせて誂えた
ものと思われ、曲目は「松風」かしら?などと想像
し乍ら、ちょっと横幅の広い祖母の舞姿が浮びます。
「桜川」を舞った時は裾に桜の花びらが数枚散って
いました。あれも波山さんの意匠でした。
平素はタマラン女史(玉蘭は祖母の雅号)などと陰
で妻を怖れていた祖父も、苦難の時代を支えてくれ
た妻への感謝の気持ちだったのでしょう。
合わせた白い絽の帯は、前回同様祖父の手描きによ
る仙桃の図。私のものと比べて柄行は小ぶりですが、
前帯は祖母の体型に合わせていっぱい描かれている
のが微笑ましく思います。