コラム

きものの話あれこれ 村田吉茂
1971年(昭和46年)2月「ミセス」掲載

No.2 染めのきもの 1

 おおざっぱに分けて、きものには染めのきものと織りのきものがありますね。染めのきものは、織った布の上に色や柄を染めたもので、織りのきものは、糸をさきに染め、その糸で色や柄を織りだした布地ということは、皆さんもご存じのことでしょう。

 染めと織りとを比べると、通念的には、染めはやさしいとか柔らかい、しとやかな感じがしますね。織りは、かたいきりっとした感じで、まあ、しとやかという感じではない。けれどもだからといって、染めのほうが、織りよりも女らしいなんてことはありません。どちらもそれぞれの女らしさがあり、かたい織りのきものでも、着る人とマッチすれば、染めのきものにはない別の女らしさが出るもんです。ついでだから言いますが、ご自分で、あたしは染めは似合わないとか、織りは似合わないと思い込んでいるかたがいますね。思い込むというよりも、自分で決め込んてしまっているんですね。これがそもそも危険なので、何事も決め込むことはいけませんね。ことにきものを美しく着ようとするならば、自分のことをいちばんよく知っているのは自分だ、と思い込むことはいけません。ご自分ではわからないご自分のよさもあるし、またその逆の場合もあるわけです。自分では似合わないと思っていても、選び方を変えれば似合うものがあるわけで、絶対に染めが似合わない、織りが似合わないなどということはありませんね。もっと上を勉強しようと思わなければいけないと思いますよ。


村田吉茂

五代店主
村田吉茂